上手く出来た話

~平成の最後に寿退社し、 令和の初日に結婚した私のお話~

真夜中のいたずら

 大分に転勤で行っている20代半ばは、行動範囲は街の中半径1kmくらいの中で生活をしていた。もちろん休日には温泉に行ったり、ゴルフに行ったりと行動範囲は広くなる。が普段はその半径1kmの中が全ての世界だ。なので自然と街中に顔見知りが増えてくる。事務所の皆も、夫々転勤族なので必然的に同じマンションになったり、すぐ近くに住んでいたりする。それは事務所の人だけに限らず、取引先の人のことまでも大体どこに住んでいるかわかってしまう。
 

 一時期、大分1モテル事務所のMが取引先の社長さんとお付き合いをしていた。もう小さい街だ。すぐにバレる。例えば、Mのマンションに社長の真っ赤なベンツが停まっていたり。二人で歩いているのを見かけたり。
 

 その日は、事務所のOと商店街で焼肉をたらふく食べて、お酒も飲んでいた。日付も変わりそうな頃、いい気分になりながら歩いて帰っていると、取引先の社長のマンションの1階に見覚えのある自転車が。

O:「おや、これMの自転車だな。」

カウ:「間違いないね!」

O:「今日は社長の所にお泊りか。」

カウ:「この時間だし、そうだな。」

2秒くらい間が空き、その後二人でニヤリと笑い、

O+カウ:「やるか!!」

と意気投合。

まずは、サドルの位置を物凄く高くした。Mは背が低いので確実に届かない。
それだけでは物足りず、サドルの向きを逆にし、ハンドルも逆にした。

大分の静かな夜道でゲラゲラ笑いながら楽しくやってしまった。若かったのだろう。
次の日の朝のMの反応を想像するだけでお腹を抱えてしまう。
家に帰っても明日の朝が待ち遠しくてなかなか眠れなかった。

待ちに待った翌日、朝礼。
Mがいない!
3分後くらいに、物凄く慌てて事務所に入ってきた。

M:「すみません。遅刻して。朝、自転車がいたずらされてて。」

Mが上長に報告している姿を見て、思わず吹き出してしまった。

M:「O、カウさんどうしたの!?、、、、まさか!!」

Oと私は大爆笑!!

昨夜の一連の流れを話、なぜかMも大爆笑しながら、

M:「もーやめてよー!!朝、大変だったんだから!でもね、自転車治している時に一瞬カウさんの顔が頭をよぎったんだよね!」

カウ:「凄っ!!」

O:「いやーでも面白かったわ。ちゃんと遅刻してくるなんて。流石だわ!」

 

昨夜に引き続き、大爆笑で翌日の朝もスタートした。

 

f:id:umakudekitahanashi:20190903154020p:plain

自転車