上手く出来た話

~平成の最後に寿退社し、 令和の初日に結婚した私のお話~

沢庵の香り

 大分転勤時代、私は車をもっておらず、東京から友達が遊びに来るたびに1つ下の後輩O君に車を借りて湯布院までドライブ&温泉に行っていた。そして、O君との暗黙の了解で、車を使う度、返却時にガソリンを満タンにして返す&プチお土産を渡す。という事が定例となっていた。新入社員で貯金のないO君はガソリンが減ってくると「カウさん、次いつ友達くるの?」といつも聞いてきた。私たちはウィンウィンの関係だった。

事件の引き金は、ガソリン満タン+プチお土産で湯布院の沢庵を買って帰った時に始まる。
たくわんは美味しそうだったので、O君の家でO君の彼女さんにご飯を作ってもらって一緒に食べようと考えていた。

しかし、時が経ち、私もO君も沢庵の存在を忘れていた。

そんなある日、突然事務所にバァンッ!!

という爆発音が響く!!

「なんだ!なんだー!?どうした!?どうした!?」

と同時に、なんとも言えない香りが事務所中に充満し始めた。


うっ?もしや、、、?この匂いは、、、。

 

「沢庵だー!!」


その瞬間、大分で1番モテル女性Mミが、今まで見たことのない俊敏な動きで、どこからともなく長い棒を持ってきて、素早く器用に高い位置にある窓をピッ、ピッ、ピッと開けていった。

沢庵の発酵した匂いに加え、普段素早く動くことのないMミが誰よりも俊敏な動きをしていることがおかしくて、事務所みんなで笑い転げた。

 

なぜ爆発したか、、、O君は、「ありがとう」と言ったまま、机の上に置きっぱなしにしていた。それが、パソコンの横だった。毎日毎日パソコンの熱を感じていた沢庵のビニールは日に日にに膨れ上がり、ついにパンパンになった。そして、大爆発!からのMミの俊敏な動き!につながった。

 

この話は、10年経った今でも、大爆笑の話である。

 Mミを見て思った事は、火事場の馬鹿力ではないが、人間はとっさの出来事に対応できるようになっているのだな。と感動した。

 人間の脳は実質3%程度しか使われていないと聞いたことがある。残りの97%にこのような能力が秘められているのなら、100%使った際、空でも飛べるのではないかと思う。この一件から人間の可能性を学ばせてもらった。

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沢庵の香り