上手く出来た話

~平成の最後に寿退社し、 令和の初日に結婚した私のお話~

シャトルマム!!

 大学3年生、20歳の夏、私は高校時代からの仲良しの3人でスイス、ドイツ、フランスを回る17日間のバックパッカーの旅に出た。
こんなに、毎日新しい事、物、人に触れ、何が起こるかわからない、ワクワクが止まらない経験は一生のうちにこの時だけかもしれない。真夏の物凄く強い太陽が直接刺さってくるような、今思い出してもまぶしくてサングラスをかけたくなるような思い出だ。

 旅立つ前から下準備をしっかりした。Jは回るルートをある程度決め、ユースホテルを抑えるところは抑える係。Sはルートに従ってユーロラインの時刻表・乗り継ぎを調べる係。私は、回る街、建物の歴史を調べる係。大学は別々の私たちは毎週末準備の為に集まった。大きいガラガラ付きのリュックや何かあった時の為にカロリーメイトなど様々なものを買いそろえ準備万端で出発した!

 旅を始めて7日目、私たちは、ドイツの最も魅力的な城郭の一つであるフォーエンツォレルン城にたどり着いた。そこへは、時刻表マスターのSの力を遺憾なく発揮しシュトゥットガルトからヘッヒンゲンへ電車を乗り継ぎ、その後バスに揺られ、標高855mのお城まで登ってきた。

 お城は、壮大で正に「天空の城」。城壁に腰を下ろし、眼下に広がる光景を目にすると、11世紀頃からいくつもの戦争を経て今の威厳のあるお城が出来上がった歴史が想像でき、しばし、そよ風に吹かれながら、タイムスリップの時間を楽しんだ。

 それぞれが、素晴らしい光景に思いを馳せた後、その日泊まる予定の街へ向け出発することにした。

その時、ちょっとした揉め事が、

最寄りの駅まで、どのように行くかで揉めてしまった。バス?タクシー?タクシーならどこで拾うの?待って、シャトルバス?乗り場は?時間は?

あーだ、こーだと3人がそれぞれ意見を言うが纏まらず、少し皆イライラして声が大きくなってきた。普段温厚なSが

S:「どうするの!じゃー、バスにするのねッ!?いいのね?」

それぞれの思惑がまだ絡み合い、旅の疲れも少々重なったのか険悪ムードは続く。

その時、少し離れたことろで5歳くらいの少年が、母親を呼ぶために大声で叫んだ。

少年:「マームッ!マームッ!」

と同時に決まらない状況に嫌気がさしたSが、

S:「じゃー、もう、シャトルマムでッ!!」

カウ+J:「エッ、つられた、、、!!」

キョロッ、キョロッ

ワッハッハー!!

大爆笑し、3人揃って

カウ:「わかった、わかった、シャトルマム乗ろう!!」

と何度も言いシャトルマム、いや、シャトルバスで駅まで行き、無事その日泊まる街までたどり着いた。

まだ旅の前半戦で一瞬3人の空気が悪くなりかけたタイミングでの「マームッ!!」。
未だに語り継がれるこの話には、5歳の少年に感謝しかない。
今彼は、20歳くらいの青年になっている。今でもマーム、マームと呼んでいて欲しい。

学び!
行き詰った時は、とにかく面白いことをする。そうするとすぐ解決できるということが分かった。

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