上手く出来た話

~平成の最後に寿退社し、 令和の初日に結婚した私のお話~

信じる力

 Jは高校の同級生で、読書が大好きな文学少女だ。だから、どんな時でも発言、表現方法が絶妙で一緒にいて飽きない。また理解力、分析力があるのか、常に的確な指摘をして、私をドキッとさせてきた。

 そんなJが20代後半の時に大失恋をした。失恋相手『Pちゃん』とは結婚まで考えていた。JはPちゃんをその気にさせるためブライダルフェアに誘ったり、“結婚までの道“的な本をそっと買ったりしていた。しかし、恋は成就せず、別々の道を歩むことになった。しばらくの間Jは相当落ち込んでおり、街中で、コインパーキングの「P」という文字を見ただけで思い出して泣いてしまったり、私が「P」と書いてあるキャップを被っていた日には、「お願いだから帽子を脱いでくれ」と頼まれるほどだった。
 そんなJが、20代最後の年に結婚した!すごくおめでたい事で心から喜んだ。そして同じ時期、私も結婚したいと思った彼との別れをずっと引きずっていたので、Jに聞いてみた。

カウ:「なんでPとの別れをあれだけ引きずっていたのに、新しい人に出会って、結婚できるの?」

J:「うん。私、私が幸せにならないわけないと思ってるんだよね!だから当たり前だわ。」

カウ:「す、すげー。」

そして、指には物凄い輝きのダイヤをつけている。

カウ:「え?こんな大きいダイヤ、いつもつけてるの?」

J:「うん!これ見よがしにつけてるの!」

カウ:「すっ、すげー。」

 Jの影響力は絶大で、その後、私も、“Jが幸せになるなら、この私も幸せにならないはずがない!”と本気で思えたし、夫グレイスに指輪を買ってもらう際も“これ見よがしに付けられる大きいダイヤにして欲しい!なんなら自分でもお金をだすから!”と言ってしまった。結局自分ではお金を出さなかったが、グレイスは必死に頑張ってくれた。その事を知っているので、指輪を付けるたびに、感謝をするし、同時にJの事も思い出す。
Jの考え方に感謝です。