上手く出来た話

~平成の最後に寿退社し、 令和の初日に結婚した私のお話~

言葉は国境を超える

 20歳の夏、高校の友達4人でメキシコに旅行、メキシコシティカンクンに行った。
太陽がすぐ近くにあるように大きく眩しかった。目に映る全てのものがカラフルで、その眩しすぎる太陽に良く似合った。

 メキシコシティでは2日間ツアーに入り、テオティワカンや市庁などの世界遺産を見て回った。そして世界的な観光地カンクンでは5日間、自分たちで自由に、海に入ったり、遺跡を見に行ったり、イルカと泳いだり。とスケジュールを組んだ。
 真っ白な砂浜に、透き通るカリビアンブルーの海。大きい太陽と辛いタコス!テキーラ!コロナ!全てがパラダイスだった。
カンクン4日目。私たちはカンクンからバスで2時間ほどのトゥルムという海辺にある世界遺産に行った。
ここでもまた、カリビアンブルーの海に、真っ白の砂浜、グレーの城塞に赤やオレンジの大きな花。そして大きい太陽!マヤ文明の偉大さと自然の織り成す色彩のハーモニーを存分に感じることができた。
一通り遊んで、カンクンへそろそろ帰ろうという時。

「あれ?バス停どこだ?」「誰かに聞こう!」「あっ、辞書忘れた。スペイン語で何て言うんだ?」

 ガイドブックには4時出発のバスがあると書いてある。それに乗らなければ!
もう、スペイン語はわからなかったので、近くのバスの運転手さんに勢いで聞いた!

カンクン! バス! あっち!?」

すると、そのメキシカンバスの運転手さんは、

「YHA!YHA!ACHHI!!」

と指をさした。

そして、“アッチ”の方向に歩いていくとカンクン行きのバスがあり、無事予定通りにカンクンに帰ることができた。

バスの中で、一人が気づいた。

「あれ?さっき、日本語で聞いたよね?」

「あっ、そうだね。」

「マジあの運転手適当じゃない!?」

「いや、通じたんだよ!」

「すげー!!」

皆で“YHA!ACHHI!”をバスの中で何度も繰り返し、爆笑しながら帰った。

誰もスペイン語なんて喋れない!運転手さんも日本語なんて喋れない!でも通じた!

世界中どこでもやっていける自信がついた!